ソフトウェア開発者向け | 2022年読了したおすすめ本

2022年を振り返って読んでよかった本を紹介します。ソフトウェア系に偏っています。

開発系

ソフトウェアアーキテクチャの基礎/著:マーク・リチャード

いろんなアーキテクチャとその特性の比較を知りたいと思って手に取ったが本書はまさに自分の知りたいことが書いてあった。各アーキテクチャの説明に1/3を費やしている。そして、それ以外の章を読み進めていくと、なぜそんなに章を費やすのかがわかる。それは冒頭にある通り、ソフトウェアアーキテクチャトレードオフであるからだ。本書はまさにトレードオフをするための基礎を培うために存在するといえる。

ユースケース実践ガイド/著:アリスター・コーバーン

ユースケース駆動設計の記事や書籍でユースケースの重要さが語られているが、そもそもそのユースケースをどういう粒度や基準で書いたものか指標がなく悩んでいたが、この本を読むとなんとなく掴める。自分的には「ユーザがそれをやることでお金をもらえる操作単位」というのがしっくりきた。また、良い例悪い例が豊富なのでどうすると良い例に近づくのかもよくわかる。絶本なのが惜しい。

ITエンジニアのためのUXデザイン実践ノウハウ/著:宇津木 希

UXを意識した開発をやってみたいと思っても巷にある書籍はデザイナーやプロダクトオーナー寄りが多い。本書はタイトルにある通りITエンジニアが良い顧客体験のためにどんな活動をするといいか、が書かれている。UXの標準に照らして、開発プロセスごとにどう落とし込んでいけばいいのかが書かれておりエンジニアが自分ごととして捉えやすい内容になっている。巷にあるUX本と比べるとUI寄りのことが書かれているとは思うが、エンジニアはUIの方がとっつきやすいので、エンジニア視点のUXの入門としては良いと思う。

マネジメント系

成果を生み出す組織の条件:実践!チームマネジメント研修/著:坂本 健

同著者の別の書籍(タイムマネジメント研修)がなかなかよかったので読んでみた。実際の研修の様子を物語調で語られていくので、研修を受けているかのような感覚ですらすら読める。印象的だったのが、能力の評価と動機付けの話。 ある人の能力の評価・レベル分けについて、これまで会社とかで使われている基準は主観に強く依存したり、普通に仕事してたらそんな状況にならんだろ、てのを拠り所にしてて納得出来なかった。この本では通常の人間が行動を起こす際は、まずある場面を確認し(状況)、何をするべきかを定め(意図)、そのために何をするべきかを考え(思考)、実際にやってみて(行動)、結果を得る(結果)というサイクルをとっている。この書籍ではそれらのサイクルのどのレベルを打破できるかに基づいてるため、普段の自分の行動サイクルとしてどこを意識することで一段上に行けるのかということが想像できるので、必ずしも定量的ではないが、論理的なもので納得感があった。 また、自分の動機づけの分析でモチベーションカーブが出てきて、例に漏れず会社でやったことあるが何の意味もない分析だと思っていたけど、衛生要因と動機づけ要因で分けて分析すると知りはじめてこの図に意味があると感じた。

新1分間マネジャー/著:ケン・ブランチャート

振り返りの考えをマネージメントに昇華したような本。一分間目標、一分間修正、一分間称賛。とにかく短時間でフィードバックを与え続ける。1on1を常日頃からやる感じ。内容は真新しい考えというわけではないのだが、コンパクトさ、読みやすさからおすすめ。実践してみようと思わせる。

もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの「マネジメント」を読んだら/著:岩崎夏海

組織としてどうあるべきか、自分はどう動くべきか悩んでいたので、超有名本を今更ながらに読んでみた。当たり前ながら、企業とは顧客の要望を満たすために存在している。顧客が誰なのか、そして顧客が望んでいるものは何かを定義することを定義することが重要。書籍としては高校野球部としての顧客は何かを定義することから始まる。高校野球の顧客って何?と思うが、そこをうまく説明しており、ドラッカーの考え方をうまく噛み砕いて説明することに成功していると思う。

その他

惑星探査機の軌道計算入門/著:半揚 稔雄

力学の基礎から始めて惑星間軌道の計算まで計算過程を細かく説明してくれている。高校物理レベルなので、素人でもついていける。これも絶版なのが惜しい。

プロジェクト・ヘイル・メアリー/著:アンディ・ウィアー

宇宙を舞台にした困難に対して科学と工学を武器に立ち向かうアンディ・ウィアー節全開の本。

Wシリーズ/著:森 博嗣

森博嗣は「すべてがFになる」や「スカイ・クロラ」は読んでいたがそれっきりだった。しかし、改めて別の作品を読んでみると科学知識や人工知能の話などふんだんに盛り込まれており、一気にハマってしまった。また、本シリーズではツンデレ要素も随所に含まれており、科学×ツンデレの金字塔とも言える(誇張)。アクションシーンも多いので映像化すると絶対受けると思う。アニメ化しないかなぁ。