夜明けの街で

東野圭吾は親切だ。こちらの斜め上を行きながら、期待してたことを描いてくれる。最後のシーンをかかんととんだハッピーエンドになるところだった。この主人公の罪は大きい。ただあとがきこそ俺が期待していたものだったけど、最後のシーンがあるからいらなかったんじゃないかと思う。

東野圭吾は単なるミステリーではなく、作品に常にいくつかのメッセージを忍ばせている。本編では不倫における男の単純さを描いてるような気がする。単純な思考の主人公。そしてしつこいように描かれる妻との、表面上何でもない、日常。そしてその単純さは、全ての男が持っている。その事を自覚して意識しろと言っている気がする。

不倫は最低だ。この本を読むと、人間には仕方のないことなのかもしれないと思ってしまう。そしてそう思う自分に酷い嫌悪感を感じさせる。


この自己嫌悪を忘れずに生きていきたい。