【書評】メタバースの最良の入門書 | メタバース さよならアトムの時代

 

マイクロソフトのちょまどさんが結婚する、ということでお相手のクラスター社の加藤直人さんの本ということで読んでみた。これまでメタバース関係の本を読んだことがなく、軽い気持ちで読んでみたのだが、「最重要キーワードが一番よくわかる教科書」の帯に偽りがない、メターバス関係の最良の入門書であると感じた。

本書では、メタバースの歴史的から、現在の世界の状況、そして将来の展望といった内容が非常に網羅的に書かれている。筆者自身がメタバースのプラットフォームを運営する会社の代表であり、この分野における熱量が感じられ引き込まれる。また、開発者目線での現状の問題点も取り上げられている。メタバースとは何かを学びたい人に最適だと思う。後書きにも書かれているが、2022年あたりに話題になっていることがかなり取り上げられているため、まさに今読むべき本である。

個人的には、旧Facebook、現在のMeta社がなぜメタバースに参入しているのかという筆者の考えも入った話が印象的だった。Facebookの収益は広告であるが、広告を見てもらうには自社のコンテンツを使ってもらう必要がある。ユーザにコンテンツを使ってもらうには、ユーザの可処分時間を奪い合う形で、ゲームやNetflexなどの動画サービスなどとも競合となる。ゲームや動画に比べるとSNSというのはユーザの時間をそこまで得ることはできない。しかし、ユーザの世界自体を作ってしまえば広告はどこでも自在に提示することができる。

従来の、リアルの延長にあるバーチャル空間であればユーザが単に暇つぶしに滞在する空間という程度の意味しかなく、あまり可能性を感じていなかった。しかし、マーケティグ的な必然性がバーチャル空間にあるのであれば、ビジネスとしてバーチャル空間がなくてはならないものになり、それに伴いメタバース周辺の発展も期待できる。今後はもう少しメタバースに注目していきたい。