【書評】ザ・ダークパターン ユーザの心や行動をあざむくデザイン

ユーザに不利益をもたらすWEBサイトの形式をダークパターンと呼ぶ。この本はさまざまなダークパターンを紹介しそれが一時的に組織の指標を改善したとしても将来的にはユーザ離れを引き起こすことを説明している。また、どのようにすればダークパターンを防ぐことができるかも紹介している。

本書はデザイナーやUI担当の開発者が読むことでダークパターンを知り、そこに陥らないようなデザインができるようになると感じる。マネージャーや経営者はダークパターンを生み出さないように、組織としてどのような目標を設定するべきか、また指標の見方を学ぶことができる。また、特に開発に携わらない人であっても、ダメなWEBサイトあるあるなのでただ読むだけで楽しめると思う。

個人的には、今までなんとなくダメだなと思っていたことが、これを読むことで、あぁ、これはダークパターンだな、とカテゴライズすることができ、そのパターンを採用している企業を評価できるようになることがこの本の1番有意義な点だと思う。以下は気になった話。

  • こっそりカゴに入れるダークパターンは、例えば航空券予約の際にデフォルトで有料座席が選択されているケース。デフォルト値は本来はユーザ操作をスムーズに行うためのものでこれを悪用している。デフォルト値を適切に運用するのであれば9割以上のユーザが選ぶ、リスクの少ない選択肢をデフォルトにする。

  • おとり商法のダークパターンはWindows10のアップデート画面のXボタン。Xボタンはアップデートを止めるではなく、アップデートを実行してしまう。マジで悪質。

  • 信頼の貯水地のコンセプト、操作が難しかったりすると水位が下がり、価値を提供できると上がる。ダークパターンを使うと売上は一時的に上がるかもしれないが、信頼の水が枯渇してしまいユーザは去ってしまう。

  • 定量的な指標を追い求めすぎると見かけだけ指標達成するためにダークパターンを使ってしまう。時には定性的に、ユーザーに良い体験を与えられているのか?に立ち返ることも大事。

  • サービスを改善する時には、どうやったらユーザーは登録してくれるか?ではなく、なぜユーザーは登録したくないのかというユーザの不安を出発点にする。

  • 顧客体験向上を目的とした「ノーススターメトリクス」を設定する。

  • ダークパターンを防ぐために、無料会員登録数に対する有料会員登録数のような、「カウンターメトリクス」をみる。